ふうまくんはやさしかった

 

 

優しさの塊だった おもちだった きっと元々身内と弱者に優しくできるタイプの人なんだろうなと思った


風磨くんがずっと羨ましかった


頭も良い、家族仲も良い、経済的に苦労もしてなさそうだし、顔が可愛い、おもちにもなれるし、面白くてノリも良くて優しい、翔くんと仲良し 最後に関しては狂い出しそうなくらい羨ましい


 翔くんをイジれるのも翔くんを助手席に乗せてドライブできるのも一緒にご飯食べられるのも翔くんの家のソファーで寝転べるのも数えだしたらキリがないくらい羨ましい


脱線したね


翔くんも優しい それはもう 3秒に1回ぐらい感じる 


彼は気遣いの鬼、細かいところによく気付く


翔くんは優しさの方程式を知っているけど、風磨くんは知らない でも答えに辿り着ける


風磨くんは心臓の隅々にまで感情が行き渡っていることを知っている その感情がどんなに些細でも、どんなに奥底にあっても、全部言葉にできる 言葉に真剣に向き合ってきた人だけが知っている、言葉は人を傷付けるけど、人を救うこともできるということ 風磨くんはたくさん救う 目の前にいる人も、端の方にいる人も、気付かないうちに救われる


風磨くんは言った


「寂しいと思わなくなる方が寂しい」


感情はずっと見ないふりしてたら本当に見えなくなってしまう 


今までのことは全てなかったかのように振る舞わなくてはいけない、何があっても何も変えず前に進まなきゃいけない、その度に傷付き、悲しいと苦しいでボロボロになった心で、それでも色んな人の「寂しい」を背負っては昇華してくれた 捨てかけた感情をいつも半分もらってくれた それはどれだけの重みで、痛みなんだろうか 想像がつかない できない


だから


分かっているけど寂しい、みたいな、繊細なオタク心を風磨くんは知っていた  それでいいんだよ、分かるよ、その感情を大切にしていてねと言ってくれる 感情は宝物だということを知っている  風磨くんは何でも知っている 


なんて凄いおもちなんだろう

 


今日まで気付かなかった

 


ふうまくんはやさしかった